過去作紹介:出来損ないの為の歌

「出来損ないの為の歌」/「fujifun」の小説 [pixiv]

 『Wake Up, Girls!』の二次創作SS、二作目。

 劇場版後半、匂当台公園ライヴのすこし前あたりで、『I-1 Club』を追われた仙台出身の無名元アイドル少女(オリキャラ)が菊間夏夜と邂逅、彼女たちのパフォーマンスを目の当たりにしてちょっぴり Wake Up する話。

 こんなこと、もう誰しもが──それこそ園児のころにはそのまま遊びとして、遅くとも高校受験に際して大抵真に迫って経験する──あって当然なんだと知っている『椅子取りゲーム』ですが、やっぱり心が弱いのと精神年齢が低いのとで感じ入っちゃう部分が多大にあります。

 本編中、本編外を問わず白木GMに切られていくたくさんの名もない『お払い箱ちゃん』たちはもとより、応募者二〇人のなかから選りすぐったというオーディションに落ちた名も知れぬ一九九三人(その経緯とともに報道された方もいらっしゃいますが)のことを思うと、胸が詰まされちゃいます。甘っちょろい価値観だって、自覚はしているんですが、持てる力を出し切った上で『だめだった人』って、その人が(物語の登場人物になんてなれないくらい)平凡であればあるほど、物凄く魅力を感じます。

 真夢のようなドラマもなく、淡々と挫折させられた、そんな『だめだった人』のひとつの救済がテーマでした。珍しく本物原稿用紙に鉛筆を歩かせていたそのころ、ちっとばかし塞ぎ込みの渦中にあったこともあり、自己嫌悪と自己憐憫の内観文がちょっとしつこいです。

 アイドルとは何ぞや論に片足つま先だけ突っ込んでみていますが、正面切ってカタチにしたい部分であり、そんな簡単に結論付けていいのかって怖さもある部分でもあり……。